【解説】「記憶の宮殿」とは何か・3【考察編】

【解説】「記憶の宮殿」とは何か・3【考察編】
バックナンバー:
【1・基本編】 https://plus.google.com/+MailEater_White/posts/bPDWCLmxr9Y
【2・ストーリー編】 https://plus.google.com/+MailEater_White/posts/3VHP6VhiWPk

ここからはこれまでの解説を踏まえ、私なりに考察してみるものです。
ミスティ・ハンナがポータル・ネットワークのことを「世界最大の“記憶の宮殿”」だと言ったのは、いったいどういうことなのでしょうか。

イングレスの歴史の中で「記憶」というキーワードから思い出される、いくつかの出来事があります。
https://plus.google.com/+innovationtohoku/posts/2BJDsF8U1oE
2014年5月、東北・石巻には東日本大震災の被災前に存在していた建築物の場所を示す「記憶のポータル」が観測された。
http://ingress.lycaeum.net/2017/01/20170101-182639.html
2017年1月、P.A.シャポーはエージェントたちが「精神のポータル(Portal of the mind)」を構築する儀式に立ち会った。

現在のポータル申請基準では原則として「実体となる建築物やオブジェクトが実在すること」とされていますが、実際には実体がないポータルも存在していた事実があるのです。

もともとポータルとは地球上でXMが集中的に発生している地点のことであり、それらが歴史的・芸術的価値のある建築物やオブジェクト、インフラの要所などと一致していたため、「人々の精神活動や思念」と深い関わりがあると考えられてきました。またグリフなどからもわかるように、XMは一定量の情報を媒介することが知られています。

「思念」は時を経て「記憶」へと変わります。
XMが多く存在すればそれだけ多くの記憶が蓄えられ、それはグリフのようにメッセージとなって別の人に伝えられます。メッセージを受け取った人がまた新たな思念を生み、それが記憶となり再びXMによって誰かに伝えられます。それが絶え間なく繰り返された結果その記憶は強化され、そこにそれらの思念を象徴するオブジェクトが出来上がった。そんな風に考えることもできます。

あるいはたまたま最初からそこに存在したオブジェクトに人が集まり、人が集まればそこには多くの記憶が放出され、それによってXMが活性化し、その結果ポータルが発生した、とも考えられます。

いずれにしてもオブジェクトはあくまでその場所の「象徴」であり、ポータルの本質とはその場所に集められ強化された、人類の「記憶」なのではないでしょうか。
だからこそ東北の「記憶のポータル」や「精神のポータル」のように、実体がなくても人々の強い記憶によって存在しうるのではないか、と考えることができます。

ここでもう一度【基礎編】でお話しした「記憶の宮殿」について思い返してみると、その構造がよく似ていることがわかります。
宮殿となる空間 ──私たちはこの世界の成り立ちや物理的法則を理解しています。
記憶を象徴するオブジェクト ──建築物やオブジェクトはそこに立つ人の記憶を呼び起こします。また現物がなくとも、人々の「記憶」の中に共有されたその姿が残されている場合があります。
オブジェクトが置かれた位置 ──私たちは何らかの必要性や(意識的あるいは無意識の)欲求によってその建築物やオブジェクトがある場所へ出かけていきます。

「記憶の宮殿」は、記憶を象徴するオブジェクトとその位置とが密接に関連しながらその数を増やすことで、より強固なものになります。そしてポータル・ネットワークという「記憶の宮殿」の持ち主は私達全員、その場所の「記憶」を共有する全ての人間なのだと考えられます。

では「記憶の宮殿」にエクソジェナス・エンティティが干渉してくる、とはどういうことなのでしょうか。

5月のナヴァロ・キャンプイベント以来、私たちはリモート・パーティシペーションという手法を通して、この世界から別の時空を旅することができ、時にはそこに自らの手で改変を加えることができるまでになっています。エージェントたちがリモート・パーティシペーションを用いてミスティを「記憶の宮殿」から救い出したことからもわかるように、 「記憶の宮殿」とは何らかの方法で他者が侵入可能な場所として実在する のです。

また同時にテクトゥルフ・モジュールを活用して新しいポータルを構築することが可能になり、これによって私達の住むリアルワールドとポータル・ネットワークとをつなぐ入口を増やすことが可能になったわけです。ミスティが言う「新たなポータル形成」とはこのことであり、いわゆるポータル申請によって未発見のポータルをスキャナ上に追加するのとは異なるのではないかと思います。

人為的に入口を増やし侵入できる道を作ったことで、「向こう側」からもこちらに来ることができるようになった…そのようには考えられないでしょうか。そしてポータル・ネットワークを共有している私達の精神へも、侵入可能になっていると。

そんな相手から我が身を守るには、何よりもまず「自分が今いる場所について知ること」、そしてそれを防衛に活かすことです。「今いる場所」とは現実の自分が住む街のことでもあり、ポータル・ネットワークにおける場所でもあり、自らの精神の地図のことでもあります。「記憶の宮殿」を強化する事により、外部から何者かが侵入したことを知り、身を守るための行動に移ることができるわけです。

ミスティ・ハンナが伝えたかったのは、そういうことなのではないでしょうか。

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末筆になりましたが、本記事作成にあたり多くの議論、資料、示唆をいただいたプロジェクト・リュケイオン・メンバー各位に感謝申し上げます。
I would like to thank the members of Project Lycaeum who gave me a lot of discussion, reference and suggestion for writing this article.

#ProjectLycaeum #ingress

http://ingress.lycaeum.net/2017/01/20170101-182639.html

コメント

  1. なるほど。では私は、彼らを手厚くもてなす為の迎賓室を構築しよう。(´ー`)大歓迎

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