P.A. シャポー(P.A. Chapeau)

Originally shared by Itonaga “Siel Dragon” Naohiro

P.A. シャポー(P.A. Chapeau)
2017/01/01 18:26:39
今日のことだが、とあるエージェント集団から接触があった。

彼らはポータルの生成を行おうとしており、私も立ち会うべきだと言ったのだ。そうして私にGPSコードとタイムスタンプを託していった。

好奇心が刺激されてしまったよ。閑散とした不毛の地、大勢のエージェントが集う場所へ私はたどり着いた。群衆でよくわからなかったが、エージェントたちは何かしらを中心にして集まっていたのだ。

闇に眼が慣れていった。そこには古参エージェントたちの姿があることがわかった。馴染みのないエージェントたちの姿もあった。そして、皮膚を淡く輝かせる者たちの姿もあったのだ、ニューウェーブだね。ニューウェーブ・エンライテンドとニューウェーブ・レジスタンスが混在していたことには気づかなかったが、このとき彼らは陣営に関わりなく行動していた。

若い女が私の姿を認め、「ポータルの生成にお力添えいただけるのですか」と訊ねてきた。

「オブザーバーに過ぎないよ」と応じると女は頷き、私の腕をとって輪の中心へと連れて行った。あたかも列を成して待つように穏やかな喧噪は途絶え、エージェントはおのおの小包をつくると中央に積まれた山へと投げ入れていた。それは静寂のなか進められる厳粛な儀式だった。中央に積み重ねられていった小包の山はとうとう投げ込む余地がないほどに大きくなっていた。

古参エージェントの中には中央の山へ歩み寄り、屈みこんだ者たちもいた。やがて、小包の山は燃え上がった。炎柱は高く高くあがり、さながら地獄の業火のようだった。

炎のそばまで歩み寄り、発せられる熱気にぐっと耐えた。もはやエージェントたちがどの陣営に属しているかもわからなかった。炎がエージェントたち全てを金色に染め上げていたからだ。彼らの投げ入れていた小包を確認しようと私は身をかがめた。それはカレンダーやプランナー、メモ帳だった。過去1年間の道具だ。

炎の周囲に立つエージェントたちは、静かに炎を見つめていた。彼らは記憶にあるどこかを、想いのあるどこかを、立ち寄ったことのあるどこかを思い馳せていたのだろう。

やがて炎は陰りを見せ始め、燃え盛った輝きは灰へと変わっていった。エージェントはそれぞれの幻想から戻り、無言のまま立ち去って行った。

程なくして、その場には数名が残るのみとなった。炎はほとんど失われていたが、生み出された熱はいまなお私の肌を疼かせていた。

「これがポータルだとでも?」と、私は目の前の若い女へ訊ねた。女はしばし考えに浸り、応えるのに少々時間をとった。そして女は微笑んだのだ。

女は印象が変わっていた。思っていたよりも若かったのだろうか。あるいは気分が晴れたのだろう、重責から解放されたのだろう。

考えを反芻していくことで、徐々にわかってきた。彼らの生成していたものがエックスエム・ポータルでなく、精神のポータルだったということだ。人生経験を共有したポータルだったのだ。彼らは精神のポータルを構築し、共にその戸口を跨いだのだ。伝え聞くところによれば、世界中で同じような儀式が行われたのだという。

帰宅すると携帯電話が鳴った。それは私を招待してきたエージェントのひとりからのメッセージだった。

「向こう側へようこそ。」

P.A. シャポー

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http://investigate.ingress.com/2017/01/01/the-portal/

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