ヴェルム・インヴェニリ(Verum Inveniri)

Originally shared by Itonaga “Siel Dragon” Naohiro

ヴェルム・インヴェニリ(Verum Inveniri)
2016/11/05 17:30:32
VINOIR は10 と 1 から成る謎であり、ひとりのエージェントも当初に同様の主張を行っています。実に不可解とわかったことは喜ばしいことです。

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その紙切れを一瞥し、びっしょりと濡れた女の顔を見た。「これが何を意味していると?」私は実に困惑して訊ねた。

「ええっと、数時間ほど前のことですが、友人が行方不明になったのです。個人的な問題を話し合うために会うことになっていたのですが...彼女は現れませんでした。最近になって彼女が疑わしい取引に関わっていたことは知っていましたから、何か起きたのではと心配してしまって」と女は訴えた。

「約束から1時間経って、彼女へ連絡を取ろうとしたのですが、音沙汰ありませんでした。彼女のもとを訪ねたところ、扉の鍵はあいていたのです。部屋に入りましたが、彼女の姿はなく代わりにその紙があったわけです。」

私は改めてその紙切れを見やり、手に取ってじっくりと観察した。「これはその女性の筆跡ですか?」と私は訊ねた。この質問にはは幾つかの意図があった。「正直に申し上げると、わかりません。シャーリーは扱うことに応じて筆跡を変えていたのです。二度も同じ筆跡で署名するようなことはないでしょう。」

「さぞ公証人泣かせであったろうね」私は考えを巡らせつつ言った。

「冗談をおっしゃっているときではありませんよ、キャスケットさん!」と女はたしなめて言った。「彼女は何か尋常でない状況にあるのだと思うのです。危険に晒されているに違いありません!」

「この道では時として冗談が万事なのですよ、ミセス...」私は物忘れしたかのように応じた。

「ごめんなさい、礼を失してしまっていましたね。私はこの先の学校で教師をしているダイアナ・ブラウンストンと申します。」写真を手渡しつつ熱心な声色で「あなたの助けが必要なのです。」と言った。

「いいでしょう、通常の報酬でお受けしましょう。実際には更に必要となってくるかもしれませんがね。この紙切れの裏には別のメッセージがありますね。」私は女にも書かれているものが見えるように紙切れを持ち上げてやった。

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