ヴェルム・インヴェニリ(Verum Inveniri)

Originally shared by Itonaga “Siel Dragon” Naohiro

ヴェルム・インヴェニリ(Verum Inveniri)
2016/11/04 15:00:13
エージェントの皆さんへお伝えします。リチャード・ローブのためにデッドドロップの復元に取り組んでいた際、我々は何者かが内部ファイル共有システムへ追加していた未査読原稿を発見しました。

今後数日にわたって VINoir の文書を公開していきますので、Google+のヴィルム・インヴェニリをご覧ください。我々はこれが重要情報の手掛かりと確信しています。

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その夜は闇に包まれし嵐だったが、この時季では毎年のことだった。インターホンが騒がしく鳴ったのは、顔に帽子をのせてうとうととしていたときのことだ。「キャスケット...お客様が...お会いしたいと...」という受付からの声が聞こえた。

「お入りいただいてくれ、フェイス」と応え、すばやく椅子に腰かけると用意された全てに目を通した。いずれにせよこのような場所で用意できるものということだ。近隣の賃料は年々上昇を続けていき、対照的にその質は下がり続けていた。

扉が開き、声が聞こえた。「キャスケットさんですか、私立探偵の。ご協力いただきたいのですが。」

私は女をちらりと見て、即座に厄介な状況にあるとわかった。鞄の握り方が女が見たことを、あるいは知ったことを物語っていたわけだ。私にとっても苦しい経営状況を脱する機会だった。「そのとおりですよ、私自身はプライベート・アナライザーとお呼びいただきたいところですがね。ご協力するとして、どのような問題を抱えられているのですかな。」と私は女に言った。それは長い夜の始まりであった。

女は一枚の紙切れをデスクに滑らせた。

そこには全く以て奇妙なメッセージが記されていたのだ。

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