P.A. シャポー(P.A. Chapeau)

Originally shared by Itonaga “Siel Dragon” Naohiro

P.A. シャポー(P.A. Chapeau)
2016/11/03 14:24:01
オペレーション・エセックスへ投稿しているエージェントの I12I が、シアトルのエージェントによる回収とヴィルム・インヴェニリの発見で得た紙片を組み合わせてくれた。当初予想されていた3枚ではなく、2枚であることが明らかになったわけだ。

この解明には数多くの人々による素晴らしい活躍があった。

その内容は過去からの声を物語っているようだ。またもやハウクラフトの文書ということだろうか。

そこには海底の洞窟へと赴く「スモヤ」という女が描かれているが、その洞窟は南米にある神秘に満ちたヨルムンガルドに関わる地であった可能性もある。「スモヤ」とは「スザンナ・モイヤー」を略したものである可能性を即座に指摘した調査員もいるね。その指摘に反論はないよ、今回のビジョンを更に興味深いものにしてくれているね。

深き海を統べるサブアクアティックのミストレス、スモヤはその見事な肢体に密着した服を着こんでいた。女は金属製のアンフォラを背負い、そこから延びる触手が首に巻き付き女の口を塞ぐ黒い貝殻へつながっていた...

女の足には水搔きがあり、その脹脛には短剣が縛り付けられていた...女が振り向き、闇の奥に私を見た。こういったことにはもう慣れていた。私が「見えざる存在」なのはわかっていることだ。いずれの地へ訪れようと余所者なのだ。

群れなして後をつけ狙う狼の存在を疑った狐の狡猾さを以て女の黒い瞳が周囲を隈なく見渡していった。そして女は漆黒の天空を周回する鳥がいるかと疑うように空を観察していた。ついてきている者がいるのではないかとの疑念を晴らすと、女は再び私の方を見た。幽鬼の如き存在にすぎぬにも関わらず、その瞳は私の存在を感じ取ったかのように目を止めたのだ。

何故だ、私に疑念が生じた、女はひとりなのだろうかと。どこかサブアクアティックの番人が女に付き従っているのだろうか。それともこの乾燥した地上とステイジアンの深淵とを行き来できる種族はこの女ただ一人なのだろうか。

そして女の瞳が漆黒の海へと向けられた。その波が黒曜石の断面あるいは石器の鏃が陽光を照り返すかのように無粋な月光によって輝かせた。

滑らかな外皮の巨大なマンタが海面から姿を現して波間を揺蕩い、激しく燃えるその瞳が海岸へ向けて光の筋を発した。このサブアクアティック・クイーンは水辺へ足を踏み入れると泳ぎ入った。そして、マンタの背へ乗ると、その中へ消えていったのだ。

光の筋は低い唸りを発して沈んでいった。恰も女が海の生物へ号令を発したかのように。

時空を超えた先の異郷で呼吸も食事も必要とはしない我がエセリアル体は、水面へと入り、海面下の闇を進む生物の背後を追っていった。

私はそこにあるものを見通すことができた。深海の生物、その海底に沈む木材と金属の組み合わされたガリオン船、溺死した亡骸。そして洪水後の文明の古い遺構。

スモヤの放つ光条は深海を走り、海岸の岩礁を切り裂く洞窟の開口部を照らした。暁の星々を思わせる刺々しい球体とクラーケンやサーペントを捕らえるためとしか思えぬ余りにも巨大な鉄網があった。

何がここにいたというのだろうか。

その恐ろしいものの存在に私が気づくのに然程の時間は要しなかった。それは巨大なダーク・サーペントだった。その尖った顎はある言葉と図形を想起させたのだ。その内に大地を抱く自身の尾を咥え込んだ大蛇の姿を。ヨルムンガルドだ。無論、その言葉と図形のことはよく知っている。戦神トールと戦った大蛇だ。大蛇は蠢くこともせず、スモヤの放つ光条に気づく気配もなかった。果たしてそれは躯なのかそれとも戦いとなるのか見てみたいと感じた。

次の瞬間、スモヤの姿が光条から現れ、水掻きのある足で力強く広大な地下洞穴へと向かっていった。洞窟にはありとあらゆる獣、そして箱や悍ましい鉤のついた鎖があった。

女はその外皮へ達すると、邪悪ななヨルムンガルドへつづく金属製の梯子を上っていった。

突如、女の肢体に赤い点が生じていき、炎の杖を手にした魔術師たちが現れるとその捻じれた杖を女へと突き出していった。

そして白衣の魔術師が姿を現す。

その男は聞いたことのない言葉を放った。「スモヤ、ワタシハイッタヨナキヲツケロト」

殺意を以て歩み寄る魔術師を前にして、スモヤは一歩も引かなかった。

別件になるが、今週末にニューヨークで何やら興味深いことが起こるとの噂も耳にしているよ。はっきり言って私が裏で流した情報ではないが、シアトルの謎めいた友が何らかの報告をしてきたとしても不思議ではないね...この件では現地に目を向けておくべきだろう。
http://investigate.ingress.com/2016/11/02/sumoya-beneath-the-waves/

コメント