P.A. シャポー(P.A. Chapeau)

Originally shared by Itonaga “Siel Dragon” Naohiro

P.A. シャポー(P.A. Chapeau)
2016/08/10 15:30:40
オブシディウスとシビュラの二人は...適切な表現が思い浮かばないのだが、断絶した刻のなかで調査に携わる我々にとって馴染みある時代へと旅を続けている。二人はどのようにして、このような遷ろう幻影へと入りこんでしまったのだろうか。そこにはどのようなわけがあったのだろうか。

内容:

「森を目前に、地中海の船では到底抗い得ぬ大波が尖った岩々を叩き、切り立った崖に打ち寄せていた。我々の眼前に広がる海原には島があった。地を這う大蛇の如くにうねる岩々に囲まれた巨大な海亀が光舞う中に佇んでいるかのようだった。精巧に削り込まれた岩々には奇妙な植物が巻きつき覆われていた。刻と共に、わざと森に溶け込むようにしたとしか思えぬ見たこともない形の建造物が波間から姿を現しては消えていった。森のなかを横切る人影があった。

我々は彼らの指導者を垣間見る機会もあったが、その女は樽のように盛り上がった丘で見た人々とはまた異なる燃えるような赤髪であった。

女のそばには戦士と思しき男たちがいた。中には葉や羽根を己が肌を塗り込むかして化粧した者たちもいた。赤髪の女はほんの一瞬立ち止まると、岩々に打ち付けられ爆ぜる波を見上げた。ひととき、波が女を立ち竦ませたかに見えた。そして女は小さな建造物へと歩み進んでいき、我々もその後を追った。その中には、ひとりの男が彫像のように横たわっていた。そして、大きな蒼い瞳と鴉の如き黒髪のケルト女性が、緑色に輝き脈動しているかに見えるその亡骸へ語り掛けていたのだった。私がこの部屋で立ち尽くす間にシビュラは姿を消していた。私は腐敗していく肉と輝く翡翠とを揺らめいているかの如き彫像を見つめていた。

P.A. シャポー

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http://investigate.ingress.com/2016/08/09/water-and-waves/

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