P.A. シャポー(P.A. Chapeau)

Originally shared by Itonaga “Siel Dragon” Naohiro

P.A. シャポー(P.A. Chapeau)
2016/08/09 16:54:34
オブシディウスとシビュラの時空を跨ぐ旅路は続いていた。いまや二人はどこにいるのだろうか。今回の文献の終わりに二人が転移したのはどこなのだろうか。

内容:

「宮殿は波打つように動いていた。時にはそこに派手な色彩のドームや幾つもの腕のある奇妙な彫像、カルタゴの戦象によく似た獣や全くもって架空の存在もあった。ある部屋には獅子の毛皮を兜にしたというイスカンダルと猛り立つブケパロス、そして号令を受ける兵たちの姿が描かれていた。

シビュラは私を宮殿の奥深くへと導いていった。そして円天井の下、ギリシアの大博物館を彷彿とさせる厳かな品々の並ぶ場所へと辿り着いた。魔除け、短剣、小瓶、経典、筆記用具、何もかもが神々の賜であるかのように光り輝いていた。

シビュラと私は、闇に佇むひとりの女に気づいた。それは深い瞑想に沈んでいるかのようであった。女は言葉を発しようとしては意識を彷徨わせた。それは葛藤しているかのようであった。シビュラは女の傍らに腰をおろすと、神々を呼び起こす祝詞を唱えつつ見守っていた。シビュラが言うには「この者は異なるときを生きております。声はこの者に届きますまい。」とのことだった。シビュラは女に触れようともしたが、その手は空を切るように女をすり抜けていた。

再び霧が覆っていった。今度のそれは青いものだった。いまだ刻に囚われし身なれば、我々はまたもや異なる地へ、異なるときへと旅立っていったのだ。

そして、我々は異なる地に立っていた。今までに見たこともないほど巨大に生長した木々に囲まれていた。

P.A. シャポー

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http://investigate.ingress.com/2016/08/09/a-trance-across-time/

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