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【Ingress言語学的調査】(中国語編1)ヒューロン・トランスグローバル社の名称について
XM企業の一つとして著名な中国企業「Hulong Transgrobal」について、言語学的な見地からまとめてみたい。現在、日本語訳でこの企業は「*ヒューロン・トランスグローバル*」と表記されているが、「*フーロン・トランスグローバル*」と読む方がいいのではないかと考える。
同企業についての詳細はこちらのページに記載されている。
http://www.nianticproject.com/?id=sc603a
以下、冒頭部分を訳してみるとこのようになる。
HULONG TRANSGLOBAL INDUSTRIES, CORP.
フーロン・トランスグローバル・インダストリーズ社
指導者
Erwin Hulong(ファーストネームは複数あり)創設にかかるフーロン・トランスグローバル(HTG)は、表面的には、中華人民共和国政府・軍と深いつながりを持つ、極めて成功した「在外華人」企業であるが、「三合会」として知られる犯罪結社との関係性も疑われている。
何者がフーロン・トランスグローバルを運営しているのか、正確なところは不明であるが、登記簿には実在の人物か否かは不明なものの一般的な中国人名が並んでいる。
以上の記述から明らかなことだが、フーロン社は中国系の企業であり、創業者アーウィン・フーロンもまた華人系の人物であるということだ。小説版でもユェン・ニィは上海へ向かっている。ということは、Hulongは英語的にではなく中国語として読むべきであるということである。
Huの音は中国語で「フー」である。Hubertという英語の男性名ならヒューバートで結構だが、中国名から来ている「Hulong」はやはりフーロンと読むべきだろう。ただし、四声はわからないので、漢字を特定するには至らない。
さて、ここで創業者の名前に関して重要な問題がある。「Hulong」は姓ではないと考えられることである。漢字二文字の姓である複姓(諸葛とか司馬とか夏侯とか欧陽とか)は中国では少なく、漢族の伝統的な81の複姓の中にHulongに当てはまるものは見当たらない。したがって、HulongはHu(姓)Long(名)なのか、Hulong(名)なのか、どちらかと考えるのが自然だろう。なお、東南アジア系の華人の場合、英名・姓・中国名と表記することもある。
Erwinは英語圏では主にファーストネームであり、まれにファミリーネームの場合もあるようだが、アーウィン・フーロンという記述から見てやはり名の方と考えられる。
したがって、アーウィンとロン、もしくはアーウィンとフーロンの両方が「ファーストネーム」と考えられる。華人系であれば十分ありえる話である。これがナイアンティック調査文献における「ファーストネームは複数あり」という意味ではないか。
名、もしくは名の後半部分の「long」については、「龍(龙)」または「隆」が想定される。普通話のピンインではlóng。どちらも人名としては普通に使われる。ジャッキー・チェンの本名も房仕龍である。
フーを姓と考えた場合、一つは胡(hú)が該当する。胡錦濤の胡であり、人口の1%を超える大姓の一つである。胡龍または胡隆という名前は、中国人としては自然なものであり、創業者名がアーウィン・フー・ロンと名乗っていた可能性は十分にある。この場合、同社の漢字名称としては「胡龍(胡隆)超球産業公司」(簡体字で「胡龙(胡隆)超球产业公司」)となると思われる。もちろん、中二病的イングレスの世界観としては、ここは胡龍であってほしいところだが。
フーなんとかという中国人名ではフー・マンチュー博士が想起されるところであるが、こちらはDr. Fu Manchu(傅 満洲=fù mǎnzhōu)すなわち「Fu」であって「Hu」ではない。
一方、フーロンで一つの名であり、実はファミリーネームが示されていないという可能性も考えられる。Hu Longという表記はなく、すべてHulongになっていることもこの説を強化する事実だ。ただし、その場合は姓が不明となる。とすれば、もともとアーウィン・(たとえばチェン)・フーロンという名前を名乗っていたにもかかわらず、資料から姓の部分が抜け落ちた可能性がゼロではない。
その場合、「虎龍(hŭlóng)」が一番かっこいい。個人的には「虎龙超球产业公司」が一番合っていると思う。このほかに可能な組み合わせとしては、「虎隆(hŭlóng)」「湖龍/湖隆(húlóng)」「沪龙(滬龍)/沪隆(滬隆)(hùlóng)」などがある。最後の「沪」は上海を一文字で表す略称であるため、実際に沪龙という会社や沪隆というホテルが存在しているが、人名としてはやや不自然かもしれない。しかし、ユェン・ニィが同社を訪問する際に上海へ赴いたことが気になる。
ところで、上記資料の最後、「コメント」欄には以下の表記がある。
コメント
フーロン・トランスグローバルに関するいかなる評定においても、熟考すべき重要な部分がある。なぜなら、フーロン博士(Dr. Hulong、そのような人物は創作ではなく実在したと考えられる)は、HTGの認知や印象を誘導するため、透明化への抵抗、偽情報、従来型宣伝素材といった重要な作業に関わっていたからである。
ここではフーロン博士と書かれており、フーロンが姓のようにも読み取れないではないが、上述したとおり、漢族の81の複姓にフーロンと読めるものはない。ドクター・フー・ロンの誤り、もしくは(名としての)フーロン博士という表現なので実在を疑う説も出たと考えるのが適切ではないかと考える。
いずれにしても、HTG社は「フーロン」と読むのが適切であろうと考える。なお、先日乗車したNL-PRIME車内で上映されたビデオの中でも、司アキラは同社を「フーロン」と発音していた。
次回予告:ユェン・ニィの漢字名について
Masashi Kawashima Kei Kawai (Niantic) Kento Suga
【Ingressラテン語講座】VIA LUX
https://plus.google.com/u/0/+GreyWagtail/posts/1vF9ctdwqS4
【Ingressラテン語講座 2】リーミナ
https://plus.google.com/u/0/+GreyWagtail/posts/j9SxYq3zgXK
http://www.nianticproject.com/?id=sc603a
【Ingress言語学的調査】(中国語編1)ヒューロン・トランスグローバル社の名称について
XM企業の一つとして著名な中国企業「Hulong Transgrobal」について、言語学的な見地からまとめてみたい。現在、日本語訳でこの企業は「*ヒューロン・トランスグローバル*」と表記されているが、「*フーロン・トランスグローバル*」と読む方がいいのではないかと考える。
同企業についての詳細はこちらのページに記載されている。
http://www.nianticproject.com/?id=sc603a
以下、冒頭部分を訳してみるとこのようになる。
HULONG TRANSGLOBAL INDUSTRIES, CORP.
フーロン・トランスグローバル・インダストリーズ社
指導者
Erwin Hulong(ファーストネームは複数あり)創設にかかるフーロン・トランスグローバル(HTG)は、表面的には、中華人民共和国政府・軍と深いつながりを持つ、極めて成功した「在外華人」企業であるが、「三合会」として知られる犯罪結社との関係性も疑われている。
何者がフーロン・トランスグローバルを運営しているのか、正確なところは不明であるが、登記簿には実在の人物か否かは不明なものの一般的な中国人名が並んでいる。
以上の記述から明らかなことだが、フーロン社は中国系の企業であり、創業者アーウィン・フーロンもまた華人系の人物であるということだ。小説版でもユェン・ニィは上海へ向かっている。ということは、Hulongは英語的にではなく中国語として読むべきであるということである。
Huの音は中国語で「フー」である。Hubertという英語の男性名ならヒューバートで結構だが、中国名から来ている「Hulong」はやはりフーロンと読むべきだろう。ただし、四声はわからないので、漢字を特定するには至らない。
さて、ここで創業者の名前に関して重要な問題がある。「Hulong」は姓ではないと考えられることである。漢字二文字の姓である複姓(諸葛とか司馬とか夏侯とか欧陽とか)は中国では少なく、漢族の伝統的な81の複姓の中にHulongに当てはまるものは見当たらない。したがって、HulongはHu(姓)Long(名)なのか、Hulong(名)なのか、どちらかと考えるのが自然だろう。なお、東南アジア系の華人の場合、英名・姓・中国名と表記することもある。
Erwinは英語圏では主にファーストネームであり、まれにファミリーネームの場合もあるようだが、アーウィン・フーロンという記述から見てやはり名の方と考えられる。
したがって、アーウィンとロン、もしくはアーウィンとフーロンの両方が「ファーストネーム」と考えられる。華人系であれば十分ありえる話である。これがナイアンティック調査文献における「ファーストネームは複数あり」という意味ではないか。
名、もしくは名の後半部分の「long」については、「龍(龙)」または「隆」が想定される。普通話のピンインではlóng。どちらも人名としては普通に使われる。ジャッキー・チェンの本名も房仕龍である。
フーを姓と考えた場合、一つは胡(hú)が該当する。胡錦濤の胡であり、人口の1%を超える大姓の一つである。胡龍または胡隆という名前は、中国人としては自然なものであり、創業者名がアーウィン・フー・ロンと名乗っていた可能性は十分にある。この場合、同社の漢字名称としては「胡龍(胡隆)超球産業公司」(簡体字で「胡龙(胡隆)超球产业公司」)となると思われる。もちろん、中二病的イングレスの世界観としては、ここは胡龍であってほしいところだが。
フーなんとかという中国人名ではフー・マンチュー博士が想起されるところであるが、こちらはDr. Fu Manchu(傅 満洲=fù mǎnzhōu)すなわち「Fu」であって「Hu」ではない。
一方、フーロンで一つの名であり、実はファミリーネームが示されていないという可能性も考えられる。Hu Longという表記はなく、すべてHulongになっていることもこの説を強化する事実だ。ただし、その場合は姓が不明となる。とすれば、もともとアーウィン・(たとえばチェン)・フーロンという名前を名乗っていたにもかかわらず、資料から姓の部分が抜け落ちた可能性がゼロではない。
その場合、「虎龍(hŭlóng)」が一番かっこいい。個人的には「虎龙超球产业公司」が一番合っていると思う。このほかに可能な組み合わせとしては、「虎隆(hŭlóng)」「湖龍/湖隆(húlóng)」「沪龙(滬龍)/沪隆(滬隆)(hùlóng)」などがある。最後の「沪」は上海を一文字で表す略称であるため、実際に沪龙という会社や沪隆というホテルが存在しているが、人名としてはやや不自然かもしれない。しかし、ユェン・ニィが同社を訪問する際に上海へ赴いたことが気になる。
ところで、上記資料の最後、「コメント」欄には以下の表記がある。
コメント
フーロン・トランスグローバルに関するいかなる評定においても、熟考すべき重要な部分がある。なぜなら、フーロン博士(Dr. Hulong、そのような人物は創作ではなく実在したと考えられる)は、HTGの認知や印象を誘導するため、透明化への抵抗、偽情報、従来型宣伝素材といった重要な作業に関わっていたからである。
ここではフーロン博士と書かれており、フーロンが姓のようにも読み取れないではないが、上述したとおり、漢族の81の複姓にフーロンと読めるものはない。ドクター・フー・ロンの誤り、もしくは(名としての)フーロン博士という表現なので実在を疑う説も出たと考えるのが適切ではないかと考える。
いずれにしても、HTG社は「フーロン」と読むのが適切であろうと考える。なお、先日乗車したNL-PRIME車内で上映されたビデオの中でも、司アキラは同社を「フーロン」と発音していた。
次回予告:ユェン・ニィの漢字名について
Masashi Kawashima Kei Kawai (Niantic) Kento Suga
【Ingressラテン語講座】VIA LUX
https://plus.google.com/u/0/+GreyWagtail/posts/1vF9ctdwqS4
【Ingressラテン語講座 2】リーミナ
https://plus.google.com/u/0/+GreyWagtail/posts/j9SxYq3zgXK
http://www.nianticproject.com/?id=sc603a
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